「升田の将棋入門」は升田幸三の意欲作だと思う。
わたしが若いころ読んだ本だ。本の最初に「盤と駒をそろえよう」とあり、将棋盤と駒の写真が載っている。駒は影水作水無瀬書のようだ。終盤の話しから入り用語集、囲いの話し、定跡は「中飛車一本槍」で早囲いの中飛車からツノ銀中飛車まで。そのあと、将棋の起源、シャンチーやチェスについてまで言及している。プロ棋士になる方法が記されていたのが印象的だ。最後は詰将棋。定価630円。わたしの入門書はこれだった。
わたしは23歳のころ将棋を覚えた。大阪転勤時代に先輩社員に無理矢理やらされた。教えた先輩は今思えば2、3級だったろう。原始中飛車一本だった。したがってスタートは原始中飛車との戦いから始まったのだった。
最初の得意戦法は何故か三間飛車であった。現在のわたしのシャンチーやチェスとは違い序盤に明るい将棋で終盤はとても弱かった。それがやがて終盤重視に変わっていった。それには2つの理由があった。
1つは穴熊。穴熊を得意戦法にしようと考えたのだ。振り穴(振り飛車穴熊)というのは終盤が強くなければ使いこなせない。強い相手に対しては振り穴というのは美濃で戦うよりも歯が立たない。この穴熊の導入が終盤重視の路線変更に繋がった。
「堅い・攻めてる・切れない・勝ち!」が合い言葉になり、美馬和夫さんがわたしの教祖になった。当時はアマ棋界では穴熊はかなり嫌われ者であった。むしろそれ故わたしはロマンを感じた。元々は理論派、理屈っぽいわたしがこの道に入ったのは自分でも意外だった。
もう1つは詰将棋。わたしにとって詰将棋は長い間、興味の対象外であった。それがある本を読んでから詰将棋が興味があるもの、好きなものに変わっていったのだ。
そのある本とは「詰将棋をたのしむ本」という名著だ。
表紙の見た目とは違い中身は硬派だ。楽しむ本という名前とは似合わない内容で読むのが苦痛で読み切るのには苦労した思い出がある。
しかしこの本で苦労したあとは詰将棋が好きになった。次から次へと詰将棋を解き、それが趣味であり楽しみになっていった。
ところでわたしは現在、棋風の大改革中なのだ。振り飛車党から居飛車等に変わろうとしている。そして強くなろうとしているのだ。町道場五段が目標だ!
決して高い目標だとは思わないが、もう歳だから無理だろうと自分自身でも思う。しかしこれこそわたしの冒険なのだ。
ショー・シャンチェスの冒険
PR